ちーぼーです。もうそろそろ私の黄八丈姿にも見飽きたころだと思いますが、そもそも黄八丈という着物をはじめてみた方も多いかと思います。私も先日の物販のイベントで「黄八丈ってどんな着物なの?」とお客さんに聞かれたとき、知識がまるでなく何も答えることができず申し訳ないことをしてしまいました。
せっかく黄八丈を着させていただいているのに無知ではまずいと思い、黄八丈とはどういったものかということについてまとめてみました。みなさんも、私と一緒に八丈島の黄八丈について知っていただけたらと思います。
黄八丈とは
黄八丈は八丈島で作られている絹織物です。山吹色の黄色を主とした、しま模様や格子柄の絹織物を指しています。
黄八丈の特徴は、「黄色」「樺色(かばいろ、赤みのオレンジ色)」「黒色」の三色を用いて、手織りで作られています。
黄染にはコブナグサ、樺染にはイヌグスの樹皮、黒染はシイの樹皮を使い、いずれも八丈島に自生している植物です。八丈島の限られた厳しい自然環境の中で、この三色は「ふしづけ」「あくつけ」「泥つけ」により染め上げられています。
歴史
黄八丈のはじまりは、平安時代末期とされています。八丈島から内地に渡ったのは室町時代で、当時農産物の乏しかった八丈島から年貢として納められたことがはじまりと言われています。絹織物を貢物として納めることは江戸時代まで続きました。
八丈島の絹織物は当初、大名や大奥などのごく限られた人々だけが着ることができましたが、徐々に町民にも親しまれるようになりました。また、黄色は「不浄除け」と言われ、魔除けとしても着られるようになり、島で作られる絹織物は入手しにくい高価なものとされてきたのです。
初期は黄色に染めだたけの「八丈絹」と呼ばれるものだけでしたが、次第に黄色に加え、樺色・黒色の格子やしま模様が織られるようになりました。
1977年には島の人々の熟練した手織りによって生み出された黄八丈は、八丈島の重要な特産品として島の経済を支え、国の伝統的工芸品に指定されることになったのです。
制作方法
1.精錬
生糸を袋に詰め、炭酸を入れたお湯に入れ3時間程度煎じます。その後水洗いし生糸の「にわか質」という不純物を取り除き、光沢のあるしなやかな糸にします。
2.染める
染める材料は黄色はコブナグサ、樺色はイヌグスの樹皮、黒色は枯らしたシイの樹皮を使います。この染める方法は工房ごとにも少しずつ変わってきます。
コブナグサ
イヌグスの樹
シイの樹
3.ふしづけ(黄染)
ふしという植物を煮出した汁に漬けこんでいきます。糸を軽くねじり桶の中に1列に並ばせ、ふしをかけて染み込ませていきます。そして糸を互い違いに積み重ね、またおなじ作業を繰り返します。一晩寝かせた後は糸を固く絞り屋外の竿にかけ、1本1本がほぐれるように何度もはたきます。
染めむらができないよう十分に乾燥させ、翌日新しい煮汁に再びふしづけをします。黄染は染めと乾燥を20回ほど繰り替えし、徐々に濃い色にしていきます。
4.あくつけ(黄染)
あくつけは、灰を水に溶かしてできる上澄みの灰汁を使います。黄染の場合は椿や榊の生葉を焼き、真っ白な灰を作って使います。瓶に灰と水を入れ、灰が底に固まるまで1週間ほど待ち、あくを少量ずつすくい糸にかけ揉みこみます。あくつけを終えた糸はそのまま寝かせ、しばらくしたら強く絞り天日干しにします。
5.ふしづけ(樺染)
樺染のふしづけはイヌグスの樹皮を剥ぎ、それを2~3時間煮出します。ふしを使うため黄染と似ていますが、樺染では最初のふしづけだけは2本の染め棒で振り染めにし、緩めに絞って竿の上に並べて一晩乾かし、固く絞って屋外に干します。この作業はふしあきと呼ばれ、樺染だけに行う工程です。
その後は黄染と同じく、ふしづけを15回ほど繰り返し、空気に触れるとまだらになってしまうため布で覆い乾かしていきます。
6.あくつけ(樺染)
樺染のあくつけには雑木の灰を使用し、方法は黄染と同じです。
7.ふしづけ(黒染)
黒染のふしづけは染と乾燥の作業を20回ほど繰り返します。1回目は15回ほどふしづけをし、泥づけをします。2回目は5~6回のふしづけと泥づけをし、糸の色合いをみてさらに繰り返していきます。
8泥づけ(黒染)
黒染に行われる泥づけは、黄染・樺染のあくつけのような作業です。泥づけには、八丈島の天然の沼から採取したものを使います、。鉄分を多く含む泥土をざるでこして一束ずつ浸します。泥につけ3時間ほど寝かせてから、小川で泥をよく洗い落とし固く絞り乾燥させます。
9.織る
染めた糸をまとめ、織ります。柄を決め糊付けをし、高機(たかはた)で島伝統の格子柄やしま模様などに織り上げていきます。織り方は江戸時代から続く「平織(ひたおり)」と「綾織(あやおり)」です。
分かりやすくいうと
私も調べてまとめながら書いたので難しくなってしまいましたが、要するに八丈島に自生している草木で何度も何度も丁寧に糸が染め上げられたということです。その糸を使って、職人の方が手織りで着物にしたのが、黄八丈です。
気になる価格ですが、この一から手作りされている黄八丈は最低でも30万円はするそうです。また、有名な職人の方が作った場合100万円以上もする、とても高価な着物なのです。
島の人のお話によると、注文が入ったときだけ黄八丈を織ると聞いたこともあります。島のさまざまなところで黄八丈の糸を使った製品が売られていますが、どれも結構なお値段がします。「かわいいなぁ欲しいなぁ」と思っても、なかなか手が出ずらいイメージです。
今までは「黄八丈なんでこんなに高いの!」と思っていましたが、こうやって黄八丈のことを調べてみると、そのお値段に納得です。
改めて考えると、私が着させていただいている着物がこんなに高いことにびっくりしました。黄八丈を着てご飯なんて食べられません。先日ホテルで自分で着た時にはやく着すぎて暇になってしまい、ベッドでゴロゴロしていましたが、こんなに高価なものなのであれば寝ないで突っ立ってようと思います。
これからは今まで以上に大事に着させていただき、あわよくば黄八丈の似合うステキな女性になれるように頑張りたいです。
コメント